メールを送ることができない場所を考えてみよう。電線のないところ,電波の届かないところ,水の中とか,雲より遥かに高い上空とか…。でも,そんな場所はすごい勢いで駆逐されている。
電子機器及び通信設備メーカーの米国スパイグラス社は1日,アメリカン航空,デルタ航空,ブリティッシュ航空などに,航空機上で乗客がインターネットを利用できる機能を提供することを発表した。航空機にサーバーを設置し,機内の乗客同士,または機内と地上で,あらゆるコミュニケーションが可能になるという。
インターネットを,インターネットたらしめたウェブブラウザ「モザイク」の権利を94年に買収して持っているのがスパイグラス社だ。モザイクは現在,スパイグラスの手によって,パソコン以外の,テレビや携帯電話用のブラウザとしての機能を高めている。このニュースも,航空機内の座席に専用のセットトップボックス(PCではない)を設置して利用させるというものだろう。設備の簡易さと価格の安さが決め手である。
飛行機の座席で利用できるモザイクからは,ホットメールやヤフー!メールなどのウェブメールが送れるだろう。でも,飛行機に乗っている人からメールが送られてくる,というのは,やっぱり違和感がある。携帯電話からのメールはアドレスが限られるためすぐわかるが,そうでないアドレスからメールが来た場合,相手はパソコンか,それに類するものの前にいることが考えられる(もちろんモバイルの可能性もあるが…)。だがよもや,飛行機の中だとは考えないもつかない。地球上のすべての場所から,ワイヤードへのアクセスが可能になる。メールの送り主のいる場所を想像することは,できなくなっていくんだ。
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